営業に携わっている人、またこれから営業職を目指す人にはこのような悩みがあると思います。
・いつまでも営業成績が上がらない。自分は営業に向いているのだろうか?
・スーパー営業マンってどんな性格をしていて、どんなことを意識しているんだろう?
・自分って内気だけど本当に営業に向いているのかな?
・仕事に就いてからでは遅いので、自分が営業向きかどうか早く知りたい!
大手金融機関で18年間第一線で営業を続け、延べ500名以上の社内営業社員の指導・育成をしてきた著者が、本当に営業に向いている人、営業成績がグングン伸びる人がもっている素質について解説します!
本記事を読んでもらえば、以下のことがしっかり理解できます。
・表面的な部分ではなく、あなたの潜在的な性格から営業の向き不向きがはっきりする。
・自分の性格をしっかり把握し、自信をもって営業職を選択することができる。
・営業力を伸ばすと得られる未来をイメージすることができる。
ではさっそくいってみましょう!
おしながき
世の中に蔓延する「営業職」への大きな誤解
あなたは営業に向いているのか?
それを解説する前に、世の中に蔓延している「営業職」への誤解を解きたいと思います。
この前提がおかしいと、営業に向いているかどうかの判断軸が大きく誤ってしまうからです。
そもそも「向いている」とは何か?
まずは「向いているとは何か?」を定義しますね。
よく「向いている」=「適正がある」とも解釈されますが、適正という言葉は抽象的ですよね?
そこで私は、「向いている」というのは、「その仕事に対してモチベーションが長く続く状態」だと定義しています。
どの職種でも「向いている」と感じている人は、総じて同じ職種を長く続けて頑張っている人達だからです。
巷でいわれる営業に向いている人の特徴
一般的に営業に向いている人のイメージは以下のような人たちだと言われています。
ほとんどのメディアが似たような主張をしています。
巷で言われる営業向きな人の特徴
- コミュニケーション能力が高い
- 課題解決力がある人
- 提案力がある人
- 傾聴ができる人
- 挨拶や礼儀がちゃんとしている人
- 清潔感がある人 ・・・
でもちょっと待ってください。
先ほど、「向いている」とは「モチベーションが長く続く状態」だと定義しました。
これを上記に当てはめると本質がずれていることに気づきます。
・コミュニケーション能力が高いことが、モチベーションが長く続く理由になるのか?
・挨拶や礼儀がちゃんとできることが、モチベーションが長く続く理由になるのか?
そうです。
一般的に言われる「営業向きの素質」は、本質的には合致していません。
たぶん、多くの人が営業成績の良い人を想像して、共通するイメージをただ言っているのに過ぎないのです。
こんな安易な判断軸で、「あなたが営業に向いているかどうか」を決めてはいけません。
では、本当に営業に向いているかどうかの潜在的な素質について次の章で解説します。
一般的に言われにくいことですが、私が18年間営業をしてきて実感する本能に関わる話ですので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
本当に営業に向いている人の特徴5選!
(その①)人が好き
あなたの周りに、やたら親切にしてくれる人ってはいませんか?
また、他人の成功を自分事のように喜んでくれる人っていませんか??
このような「人が好き」な人はとにかく営業に向いています。
なぜなら、相手に喜んでもらえることに無常の喜びを感じれる人間だからです。
営業に向いている人は、とにかく相手や顧客に興味がなければなりません。
相手・顧客の成長や成功を、自分事のように喜べる人達です。
相手・顧客が好きな人は、心の底から相手が喜んでくれる商品やサービスを情熱をもって販売しますし、
相手の笑顔や感謝を自分のモチベーションに変えることができるのです。
もし仮に、あながたそこまで強く「人が好き!」と思わなくても大丈夫です。
「身近な人に興味がある」「他人に喜んでもらえると素直にうれしい」「もっと他人と触れる機会に巡り合いたい」
と自然に思えれば問題なし。
逆に、
人に全く興味が沸かない、面倒だから僕を誘わないで欲しい、お祝いやプレゼントのお返しとして貰ったもモノ以上のお金は払いたくない等、とにかく他人に興味が無いならばあなたは営業に向いていないでしょう。
(その②)自分が好き
「自分が好きな人」も営業に向いています。
なぜ自分が好きな人は営業に向いているのか?
それは、営業ほど個が目立つ職業はないからです。
自分が好きな人は、自分が目立つことが大好きなのです。周りから注目されることが大好きなのです。
営業は契約の成約数字・実績で優劣がつけられる、ある意味残酷な職業です。
ただ、目立つことが大好きな人は、この分かりやすい優劣を見事エネルギーに変えることができます。
圧倒的な数字を稼ぎ、周りから「やっぱあいつスゲーな」「困った時は〇〇さんに頼むしかないよね」と言われることを最高の喜びとするのです。
こう書くと、「自分好き」とは何やら嫌な感じの人・・・というイメージになりそうですが、決してそうではありません。
これは内面の話なのです。
自分が好きということを仕事のモチベーションにできることは素晴らしいことですし、
自己肯定感がある人はどんな場所にいても幸福度が高いのでとてもいいことなのです。
とにかく、自分好きな人は営業成績を上げることから得られる環境変化をプラスの力に変えて貪欲に成長していけます。
このあたりは、個人成績がはっきりするプロスポーツ選手とある意味似ている部分かも。
だから引退したスポーツ選手が営業マンになって活躍するケースが多いのかもしれませんね。
(その③)お金が好き
営業向き三つ目の素質は、「お金好き」ということです。
この素質は皆さんにもイメージできるかもしれませんね。
フルコミッション型営業(保険営業や通信業、不動産業などによくある完全報酬制度型営業)の第一線で活躍している人は間違いなくお金好きです。
自分が成約した分だけ大きなお金を稼げる。
これが彼ら・彼女らのモチベーションの源泉になります。
一方、組織に属している固定給の営業マンでもお金好きは成果を発揮します。
なぜなら、大きな案件を成約できたときの興奮は何物にも変えられないからです。
私も過去に億単位の超大口成約をしたことがありますが、そのときの興奮は今も忘れられません。
大きな契約をとった事実はもちろん、お客様と交わした握手や、同僚たちからの賞賛は何度受けても嬉しいものです。
ビジネスの世界では、お金や数字はある意味一種の興奮材料のようなものです。
こういった理由から、お金好きは営業向きと言えるのです。
(その④)分析が好き
以外と思われるかもしれませんが、分析が好きな人は営業向きです。
なぜなら、営業は確率と再現性の職業だからです。
多くの人が、営業は「センス」や「アドリブ」が必要と思ってますよね?
たしかにそういった側面はあるのですが、結局営業は成約確率を如何に上げていくかというゲームなのです。
野球でいう打率のようなものですね。
そして、確率を上げるには必ず分析が必要です。
「今日の商談はどこがよかったのか?」「あの打ち合わせの何が悪かったのか??」など行動を分解・分析して言語化できれば、それが再現性となって成約確率をどんどん上げることができるのです。
成約確率が上がれば、当然営業が楽しくなりますよね!
ましてや最近はセールスフォースオートメーション(SFA)やマーケティングオートメーション(MA)など、AIやサービスを駆使した営業支援ツールが注目されています。
これらのサービス導入の流れは今後ますます加速していきます。
だから、自分や組織の成約確率を上げることができる分析好きな営業マンは周りからも重宝されるのです。
(その⑤)新しいモノ好き
新しいモノ好きな人も営業に向いています。
なぜなら、売る商品やサービスは同じです、同じお客さんや同じシチュエーションなど無いからです。
新しいお客さんに出会うと、そのたびに新しい学びがあります。
お客さんの業界のことで新しいことを教えてもらう。新鮮な発見に出会う。
お客さんとの雑談や接待で、知らなかった美味しいお店や行ったことの無い海外の情報を教えてもらう。
自分の悩みをお客さんに相談して、新しい視点のアドバイスをいただく。
出会うお客さんごとに新しいことを知ることができて、自分という人間の引き出しがたくさん増えるんです。
ちなみに私はすごい飽き性です。今まで物事が長続きしたことがありません。
だけど、営業だけは18年間も続いています。
これは、やはり飽きないからです。
僕も妻からよく言われるんです。
「あなたが営業以外の仕事をやっていたら、飽きてとっくに仕事辞めていたよね」と(笑)。
だから、もしあなたが新しいもの好きであったり飽き性だったら、営業というフィールドを強くおススメします。
決定的に営業に不向きな人の特徴
前章の「営業に向いている人の素質5選」に一つも当てはまらない場合は、残念ながら営業に向いていないでしょう。
今からでも遅くありません。違う職種を選択することを強くおススメします。
くれぐれも言いますが、『営業に不向き=ビジネスに不向き』というわけではありませんよ。
あくまでも「営業」という職種に不向き、というだけの話です。
ですので、「果たして自分は営業向きか?」という疑問に対してはっきり答えを出し、自分の適性を探してみてください。
加えて、このことが出来ないと決定的に営業不向きだと思われる人の特徴を以下に2つお伝えします。
これは営業だけに限らず、組織に属するビジネスマン全般に言えることかもしれませんが、
私の経験上、特に営業に不向きだと思われる特徴を説明したいと思います。
(営業不向きな特徴①)初歩的なビジネスマナーを守るのも苦しい人
「メモがとれない」「スケジュールが組めない」「物忘れがひどい」など、
いわゆる超基礎的なビジネスマナーが出来ない人は営業に向いていません。
営業という仕事は、お客さん自身が気づいていない課題や問題を気づかせ、それに対する答えと商品を提供し続ける極めてクリエイティブで信用を求められる仕事です。
そんな中、チンプンカンプンな回答をしたり、お客さんの要望や意図をしょっちゅう忘れて迷惑をかけていては仕事になりません。
「初歩的なビジネスマナーができない人なんているの?」
そう思うかもしれませんが、これが出来ない人結構います。
本人には全く悪気が無いのですが、何度言われてもできないのです。色々欠落してしまうのです。
ですので、「自分もできないなぁ・・・」と思われるのであれば、一度ご自身と今の仕事を見つめなおした方がいいと思います。
(営業不向きな特徴②)周りに仕事をお願いできない人
周りに仕事を依頼できない、自分がやらないと気が済まない、こういった人も営業に向いていないと断言できます。
営業の経験が長くなれば長くなるほど、保有するお客さんが増えてきます。
お客さんが増えるのと同時にメンテナンス作業などもどんどん増えていきます。
そうなると必然的に新規開拓に動く時間がなくなり、成果や実績を上げにくくなります。
営業ができる人は、周りのメンバーにどんどん協力を仰いでメンテナンス業務やルーチンワークを代行してもらえるような仕組み作りをします。こうしないと今までどおりの新規活動ができませんので。
ただ、これが結構難しいのです。
お人好しや自分でやらないと気が済まない人は、周りに仕事をお願いしたり振ったりすることがなかなかできません。
周りに仕事が振れないと日に日に繁忙度が増してくる割には成果を上げられなくなるという負のスパイラルにハマってしまうのです。
こういう意味でも、要領がいい人や気持ちよく依頼ができる人は営業に向いているんです。
営業力はいつでも身につけることができるのか?
営業に向いている人の素質はよくわかりました。僕は向いている特徴に当てはまっているのですが、現在は営業がうまくいっておりません。どうやったら営業成績がよくなるのでしょうか?
本記事で述べた素質(特に「人が好き」「自分が好き」「お金が好き」の3つ!)があれば、営業力はいつでも何歳になっても身につけることができます。
3つの素質を自覚しているのに営業がうまくいかなくて困っている人は、現状のマインド面とスキル面にズレや問題があるだけです。
特にマインド面は何かのきっかけに突然大きく変わることがあるし、意識的に変えることもできるんですよ!
イメージとしては、元々太っていた人が何かをきっかけにダイエットに目覚め成功する、みたいな感覚です。
よくテレビでやってますね!ダイエットの神様が降りてくるような感覚(笑)
後天的に営業力を伸ばした人の事例①:保険のスーパーセールスマンの話
ここでは、私の知人である生命保険営業Aさんの話をしたいと思います。
Aさんは、生命保険業界で最高ランクのTOT(Top of the Table、生保営業で年収約1億円以上を獲得した人、日本国内で年間数十人しか獲得できない誇り高い称号)を複数回獲得しているスーパー営業マンです。
Aさんは元々営業成績がよかったわけではありません。
入社から数年間は営業成績もうだつが上がらず、ある月の給与が最低保証の5万円というときもあったようです。
では何で彼はスーパー営業マンになれたのでしょうか?
それは「親友の死」がきっかけだったようです。
営業成績が振るわなかった当時の彼は、生命保険を売ることに負い目を感じていたようです。
なのでAさんは、その親友に生命保険の話は一切していなかったのでした。
ある日、その親友が若年性のガンに襲われることに。
親友は何も保険に入っていなかったようで、十分な治療を受けることができなかったとか。
そして進行性早いガンに侵され、あっという間に亡くなってしまったのでした・・・。
Aさんはとてもとても悔やみました。
なぜ一番大事な親友にしっかりとした生命保険を提案していなかったのか・・・。
親友にしっかりガン保険を加入してもらっていれば、最先端の治療が受けられて今も元気に生きていたかもしれないのに・・・。
そしてAさんは仕事に対する自覚を大きく変えました。
生命保険営業という仕事に対する姿勢はもちろん、
保険以外の知識の習得やお客さんとの向き合い方すべての一から改め、学び直したのでした。
無論、営業成績を上げるためには新たに習得したSキルもたくさんあったかと思いますが、
まずは根幹となる仕事観・マインドが大きく変わったことが、Aさんがトップセールスになれた大きな要因だったのでした。
それからというもの、Aさんは生命保険という仕事に誇りを持ち、とにかくお客さんに会いまくりました。
今や数千もの経営者やお医者さんと取引し、多くのお客さんから感謝され、今も大きく稼いでいるのです。
そして、Aさんも例外なく「人が好き」「自分が好き」「お金が好き」なのです。
Aさんのように、自覚の持ち方ひとつで底辺ダメダメ営業マンからトップセールスマンに変われることができるのです。
そして、一般的に営業向きと言われるような「コミュ力が高い」「人見知りではない」「ヒアリングができる」などといった素質は、ここでは全く関係しないということを理解してください。
後天的に営業力を伸ばした人の事例②:私(著者)の話
ここでは私の話もさせてください。
自己紹介で触れたとおり、私も当初はダメダメ底辺営業マンでした。
営業という仕事を何度辞めようと思ったことか分かりません。
そんな私が今のポジションを確立できたのもある出来事がきっかけでした。
*ご多分に漏れず私の性格が「人好き」「自分好き」「お金好き」なのはもちろんです(笑)
それは最悪な上司に仕えたことです。
当時の私の上司は、それはそれはひどいマネジメントを行う人間でした。
とにかく部下たちをパワハラでビビらせ、屈服させるマネジメントスタイルです。
案の定、私も理不尽な理由で散々ひどい目に合わされました。
今思うと、会社や組合に助けを求めるという方法もありましたが、当時はそういった方法は考えられませんでした。
「仕事を辞めよう」
「いい加減あいつの下でなんかやってられるか」
何度もそう思ったのですが、ただ単に逃げて辞めるのは悔しい。
何かギャフンと言わせる方法がないか考えました。
そして行き着いた結果は、営業がメチャクチャできる人間になって、
そのクソ上司から「頼むから辞めないでくれ!」と言われて辞めてやろう、というものでした。
今思えば何て浅い理由なんでしょうね(笑)
ただ、その時は大真面目でそう考えました。
そして私が営業ができるようになるためにしたことは以下のことです。
- とにかく身近のスーパー営業マンの真似を徹底的にすること
- 単価が安いBtoC営業ではなく、単価が大きいBtoB営業に絞ること
- 経営者や企業から『本当に必要とされる営業マン』になるためにはどうするか?を徹底的に考えること
ダメダメ底辺営業マンだった私でも、これらを実践することで少しずつ良いスパイラルになっていきました。
そしてある日、数千万円という契約を成約することができて、年間の社内表彰を受けるまでになったのでした。
*本記事は「営業向き不向きについて」なので、なぜ底辺ダメダメ社員だった私がトップ営業マンになれたのかの秘密は別記事で紹介します。
まとめ
ここまで記事をお読みいただきありがとうございました!
最後に、営業に向き不向きな人を簡単に判別するための素質をまとめます。
・「人(相手・顧客)が好き」であること
・「自分が好き」であること
・「お金が好き」であること
・「分析好き」であること
・「新しいモノ好き」であること
営業職に就こうかどうか、自分の適性で迷っているときは、ぜひこの素質と向き合ってみてくださいね!